勉強はできるが仕事ができず悩む日々
来院された大学院卒のAさんのエピソードです。
融通が効かず、仕事ができません。
「適当」がわからない。
学校のテストと違って、仕事では明快な答えがないことばかり。
あまりのできなさぶりに、Aさんは会社から「治るまで出社しなくていい」とまで言われてしまいました。
自分でもおかしいと思うけど、一体何を治したらよいのか分からないAさん。
匂いや音にも敏感で出社するだけでもヘトヘトです。
身体は悪くないので、とりあえず、精神科で診てもらうことにしました。
知能検査、心理検査を受け、その結果から発達障害と診断されました。
薬での治療を始めたものの、副作用が強すぎたためかとにかく眠い。
相変わらず、仕事ができないので「もう転職するしかないのだろうか」「転職したとしても向いている仕事なんてあるのだろうか」と悩む日々。
その後、転職する予定があったが、直前でやめてしまいます。
もっと別の治療のアプローチが必要ではないかということで”発達特性外来”を紹介しました。
そこでカウンセリングを受けるようになります。
カウンセリングを続けるうちに心がだいぶ楽になっていきました。
認知行動療法を始め、冷静に対処を考えられるようになりました。
抗うつ薬のイフェクサーも効き始めました。
匂いや音に敏感な問題はマスクにハッカ油をつけたり、耳栓をしたりして対処しています。
無理に向いている仕事を探すことはない。
とりあえず自分にできることを始めてみようということで、前向きな気持ちになることができました。