アスペルガー症候群にまつわる体験談

ぐちゃぐちゃに触ってから食べる私の子ども

40代女性、当時30代

 

 現在7歳の息子が3歳のときアスペルガー症候群と診断されました。

 

 2歳前から様々なこだわりが目立ってきて、着る服、靴、道順などに譲れないもの出てきて、所構わず泣き叫び本当に大変な毎日でした。ただ言葉が遅れていなかったため、その当時は障害があるとは言われることなく、強い個性を持っている子ということで通ってきました。
 (=>発達障害の子どもにみられる行動

 

 しかし、幼稚園の入園を考えるころ、このままではとても入園できないと思う特徴がありました。それは度を越した偏食です。白米しか食べない、パンしか食べない、というような偏食ならよく聞きますが、息子の場合、その日何を食べるのか全く予想がつかず、毎日食卓にある1つのおかずにターゲットを絞り、それをぐちゃぐちゃに触り、30分も1時間も触りまくてからやっと少しずつ口に運ぶということを続けていたのでした。

 

 それを注意したり止めさせたりすれば当然癇癪を起こすし、また親としてはそんな食べ方でも食べてくれたらいいという気持ちになってきていました。その食べ方の間は当然外食にも行けず、人を家に呼ぶことも、呼ばれても行くこともできず、かなり孤独で引きこもりがちな日々を過ごしていました。

 

 しかしこれでは幼稚園にも入ることができないということで、歴史のある有名な療育施設の門を叩き、そこで発達検査などをし、アスペルガー症候群と診断され、3歳から療育を受けることになりました。

 

私がした対策

 療育先では食事のことで作業療法の先生に細かく見てもらいました。

 

 アスペルガー症候群をはじめとする自閉症スペクトラムの子どもには偏食が見られることが大変多いということでしたが、療育先でも私の息子のような食べ方まで独特な子は見る限りではいませんでした。

 

 しかし、専門の先生は
 「○○君(息子)は食べものと自分の関係性を作っているんですね」
 というので目から鱗でした。

 

 息子は給食の肉団子を割ったり、手でこねてみたりぐちゃぐちゃにしつつ、たまに舐めてみたりしています。はたから見ればただ食べ物で遊んでいるとんでもなく躾のなっていない子どものようです。

 

 しかし、そうではなくて、その肉団子が食べられるものなのか、そうでないのか、ということを自分なりに研究して、納得したときに口に運んでいるので、今の息子には必要な作業だというのです。

 

 一見普通に見えても私が「美味しいから一口食べてみて」といって素直に食べられるようなコミュニケーション力がまだ育っていないということだったのです。

 

 先生のその言葉を聞いて、どんなにはちゃめちゃな食べ方でも今は見守ろうという気持ちになり、それから約2年、年長になるころには、その食べ方の名残をのこしつつも、ファミレスなどで外食はできるくらいに成長できました。

 

 特に病院に通うことはなく、子どもの行動を認め見守って行くこと対策でしたが、みんなとはかなりとは違っているけれど息子なりのやり方があるのだと先生に教えられました。

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 =>【医師監修】アスペルガー症候群の大人が行く病院

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