発達障害におけるアスペルガー症候群
発達障害におけるアスペルガー症候群の位置づけを紹介します。
発達障害は、自閉症、LD、ADHDなどの総称
発達障害とは脳の機能不全が原因として起こる障害のことです。
うつ病などの気分障害は心理的なことが原因となりますが、発達障害は主に先天的なものに由来します。
発達障害には、自閉症、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)といった障害が属しています。
アスペルガー症候群は自閉症の中のある特性を持つ群
自閉症の大きな特徴は「対人関係が困難」「言葉による意思伝達ができない」「行動に極端なこだわりがある」です。
自閉症のうち、知的障害を伴うケースが4分の3を占めます。
しかし、なかには知的障害を伴わず、決して知的能力が低くないものがあります。
これが高機能自閉症です。
この高機能自閉症の中で、発達障害の大きな特徴である「対人関係が困難」「行動に極端なこだわりがある」は見られるが、「言葉による意思伝達ができない」は見られないというものがアスペルガー症候群です。
なお、「精神障害の診断と統計の手引き」(DSM-5)では、自閉症と高機能自閉症、そしてアスペルガー症候群が同じ症状を持つ連続体「自閉症スペクトラム」として扱われています。
下図は位置づけを表した図です。
発達障害全体におけるアスペルガー症候群の位置づけ
発達障害はひとつとは限らない
図からも分かるように、それぞれが併発していることもあります。
つまり、ADHDでありながらアスペルガー症候群、学習障害でありながらADHDというケースです。
「自分はアスペルガーだから学習障害はないはずだ」なんて決めつけないようにしましょう。
症状を感じたら具体的に包み隠さずお医者さんに話しましょう。
それが生きづらさ改善への第一歩です。
頼まれると断ることができない大人の発達障害
発達障害は幼児期や小中学生が発症することが多い病気ですが、成人してから発症する「大人の発達障害」も増えています。
学生時代は優秀で勉強もスポーツも優れていたのに、大人になってから仕事ができなかったり、遅刻をくりかえしたり、会話ができなかったりするなどの困ったな特徴が現れます。
コミュニケーション能力や社会性、想像力に欠けていて、社会への適合を難しくさせています。
人に頼まれると断ることができないというのは、大人の発達障害によくある症例です。
残業を断れなかったり、無理なスケジュールにも関わらず仕事を引き受けてしまったりします。
その結果、過剰労働で倒れてしまったりします。
お金を簡単に貸してしまうことも多く、そのことも自らの首を絞めてしまうことになります。
大人の発達障害の人は、学生の頃、成績が良かったことが災いして、本人も周囲も病気とは気づかないことが多いのです。
発達障害には、知的障害を伴うものや伴わないもの、アスペルガー症候群や高機能自閉症といった自閉症スペクトラムなど、さまざまなものがあります。
個人差が大きいので、専門家で受診して適切な治療を受けることが大切です。