アスペルガー症候群にまつわる体験談

集団行動が苦手で子供の頃から悩んでいた

30代男性、当時20代

 

発病までの背景

 とにかく好きなことには興味を持ち、ひたすらそれに取り組み続けていました。ある日、将棋の駒をきれいに並べることに夢中になっていたら、両親に激しく注意され、ようやくやめました。一人っ子なので、家では両親以外、特にかまってくれる相手もいないため、自分の世界を作りやすかったように感じます。

 

 自宅でそのような状況でしたので、授業中や課外活動中、先生は私のことを生徒と比べ扱いにくい存在だったと思っていたに違いません。特に集団行動が苦手で、運動会で披露するための皆でやらなければならないダンスを決められた通りに踊ることができず、体育館の隅っこでずっと座っていました。運動会に参加したくないため、当日は観客席から他の生徒を眺めていました。

 

大人になって現れたアスペルガー症候群の症状

 大学まで通って、就職するところまではできました。しかし就職してからが大変でした。自分がやらなくてはならない作業中に上司から作業変更の依頼があったり、作業のミスを注意されたりしたときに、自分でも何をしているのかわからなくなってしまうほどのパニックに陥ってしまいました。そんな私を見て上司も動揺していました。そんなことがたびたびありました。

 

 興味のある作業については、周囲の人間と同程度のレベルで行うことができるのですが、突発的な対応を求められる作業であったり、上司の言っている内容がよく理解できない作業については、求められるレベルの結果に全く届かないという状況でした。そういうこともあり、最初に就職した企業は三カ月たたずに退職することとなりました。

 

私が行った治療

 病院に行くほどでもないと考えていましたし、かかりつけの内科医には特に問題ないといわれておりました。ですが、周囲の方のすすめもあり、念のため市で運営している総合病院の精神科を受診することにいたしました。

 

 その精神科では、先生とお話しする前にA4用紙3枚分のアンケートに答える必要があって、そこには現在気になっている症状について、子供のころについて、家庭環境について、対人関係について、仕事の勤務状況についてなどを記述しました。

 

 治療内容は先生と一定時間会話したあとで、社会生活を送る上で負担になりやすい場面でのアドバイスを頂きました。パニックを起こしそうな気持ちのときにはどういう心構えでいるべきかなど具体的に教えてくれました。丁寧にひとつひとつ解決していくといった方法がとられました。また、ルボックスという薬を長期服用することをすすめていただき処方してもらいました。

 

その後

 20代のころと比べると、自分の意にそぐわないことを話されても落ち着いて聞くことができるようになりました。しかし、いまだに相手の伝える話の内容が、額面どおりの意味ではなく含みを持たせているような内容のときには、理解することができず押し黙ってしまうようなことがあるのは事実です。(→アスペな大人の特徴-言葉の裏の意味を理解できない)

 

 精神科の先生からは、興味の範囲外の話の内容であった時の理解力と反応が非常に鈍いとアドバイスをいただきます。その点を特に今後の人生で気をつけていきたいと思っております。

この体験談から学べること

自分はアスペルガーなのではないかと精神科以外のかかりつけ医に相談しましたが、特に問題ないでしょうと言われました

お医者さんも全ての診療に精通しているわけではありません。きちんと精神科や心療内科など専門医に相談しましょう。

”生きにくさ”を感じるようなら医療機関へ

 このサイトを見て自分もしくは配偶者や家族など、身近な人がアスペなのでは?と思う方がいるかもしれません。

 仕事や日常生活に支障をきたすほど”生きにくさ”を感じるようでしたら病院で診てもらいましょう。

 大切なのは自己判断しないことです。正確な診断は医療機関で行われます。
 =>【医師監修】アスペルガー症候群の大人が行く病院

 また、仕事が続かない、うまくできないといった悩みを抱えた方のために就労支援機関が設けられています。
 =>「アスペな大人」に向いている仕事や就労支援

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