「アスペな大人」が行く病院
この記事を読んで分かること
「アスペな大人」が行く診療科
予約の仕方
困ったときの相談先
診察の内容
どのような検査が行われるか
アスペルガー症候群は、大人になってから、生きづらさを感じてしまう病気です。
できれば子どものうちに発見し、治療を始めるのが望ましいといえます。
しかし、大人になるまで気づかないことが多いのが現状です。
「アスペな大人」が行く診療科
「アスペな大人」が治療を始めるには、「発達障害外来」「アスペルガー症候群外来」のような科を設けている大学病院・総合病院がベストです。
ただし、数は多くありませんし、成人は対象外となっている医療機関もあります。
もし近くにアスペルガーを専門に診てくれる診療科がなければ、大学病院・総合病院の「精神科」で良いでしょう。
電話で予約しましょう
同じ精神科でもアスペルガー症候群の専門医がいるとは限りません。
電話で「大人のアスペルガー症候群」を診てくれるかどうか確認しましょう。
「大人の」というところがポイントです。
アスペルガー症候群でも子供は診ることができるけども、大人は範囲外というところもあるのです。
念の為、心理検査や知能検査をしてくれるかも聞いておきましょう。検査をしてくれるところでないと診断はできません。
また、大人のアスペルガーを診てくれる診療科は予約制のところも多く、数カ月先まで予約待ちというケースもありますので、注意しましょう。
【電話予約で確認すること】
- 「大人のアスペルガー」を診てくれるか?
- 心理検査(知能検査や性格検査)をしてくれるか?
- 受診する日時
各都道府県の病院はこちらから検索できます。
全国の病院・医療機関
相談対応してくれる「発達障害者支援センター」
また、各都道府県には、「発達障害者支援センター」が設置されています。
診断や検査は行っていませんが、相談対応してくれます。
私も相談したことがありますが、成人のアスペルガーについても対応してくれました。
病院がすぐに見つからない場合は、発達障害者支援センターを頼ってみるのも一つの手でしょう。
発達障害者支援センター 一覧(外部サイト)
精神科で行われる診察
精神科での診察は面接が中心です。初診では次のことについて質問されます。
- 現在起こっている精神症状・身体症状
- いつごろ発症したか
- 思い当たるきっかけ
- 最近自分の身の回りに起こった変化
- 家庭環境など
- 対人関係など
- 仕事歴や勤務状態など
- 子どものころの様子
診察がスムーズに進むように事前にある程度答えを考えておくと良いでしょう。
生育歴や子供の頃の様子を聞かれますので、母子手帳や小学校の頃の通信簿を参考にするとよいでしょう。初診の時に持参しても構いません。
通信簿では勉強の成績ではなく、「挨拶返事ができるか」「やくそくを守れるか」などの「生活行動の記録」や「先生からの特記事項」をよく見られます。
可能なら親同伴で来院するとよいでしょう。自分の幼少記録は自分ではうまく話せないものです。
診断で行われる心理検査
初診のあとは検査に移ります。
主に心理検査(知能検査、性格検査)が行われます。
知能検査
知能を測定する心理検査です。
成人では主にWAIS-Ⅲによる検査が行われます。
WAIS-Ⅲ
ウェクスラー式成人知能検査。16歳以上に適用される知能検査です。
ちなみに15歳以下は児童向けウェクスラー式知能検査(WISC)が適用されます。
この検査では知識や理解などを測定する”言語性検査”と絵画完成や組合せなどを測定する”動作性検査”を行います。
言語性検査は口頭での質問に口頭で答える形式です。
動作性検査は図形を見て記述したり、作業をしたりする形式です。
検査の結果は項目ごとに数値(IQ)で表されます。
言語性検査の項目→知識、類似、算数、単語、理解、数唱、語音整列
動作性検査の項目→絵画完成、符号、積木模様、行列推理、絵画配列、記号探し、組合せ
アスペルガー含む発達障害の場合は、項目ごとに凹凸が激しく、グラフにするとギザギザの形になります。
ちなみに知的障害の場合は全体的に低い値となります。
ただし、これだけで発達障害の診断ができるものではありません。
発達障害の方が知能検査を行うと大抵の場合、言語性IQが高く、動作性IQが低いという結果が表れます。
ただし、これだけで発達障害と決まるわけではありません。全ての検査、問診を踏まえて診断されます。
=>知能検査だけで診断が決まらない例
性格検査(パーソナリティ検査)
性格(パーソナリティ)を測定する検査です。
ロールシャッハテストやSCTなどが行われます。
ロールシャッハテスト
性格検査の代表的な検査方法です。
この検査では左右対称になったインクのしみの図柄のカード(ロールシャッハ・カード)を見て想像をしたものを述べます。
その結果を分析して心理状況を推測します。
SCT
Sentence Completion Techniqueの略。「文章完成法」です。
不完全な文章を完成させることにより、性格を判断する方法です。
例えばこのような文章が出題されます。
「友達は私を____」
「私は一人になると____」
心理検査以外の検査を行うことも
医療機関によっては脳波検査やSPECTやMRIなどによる脳疾患の検査を行うところもあります。