アスペルガーと二次障害

アスペルガーと二次障害


 アスペルガー症候群の症状だけで病院に通うということは案外少ないものです。

 

 病院に通うきっかけとしては、大きく2つのケースがあります。

 

 1つはLDやADHDといった他の発達障害を併発している場合です。

 

 生活や仕事、学習に支障があり、薬などで症状を抑えるために通院が必要になります。

 

 そして、もう1つは、アスペルガー症候群による二次障害を併発した場合です。

 

 この場合も病院に通う必要があります。

 

 アスペルガー症候群の症状から引き起こされる精神的ストレスにより、さまざまな不調があらわれます。

 

 これがアスペルガー症候群による二次障害です。

 

 アスペルガーの方が受ける精神的ストレスには次のようなものがあります。

  • 「このままではいけない」「もっと頑張らないといけない」といった焦りや不安
  • 「頑固者」「わがまま」という他人からのレッテル貼り
  • 家族などの身近な人からも冷たい態度をとられる
  • 「失敗したらまた怒られる」という気持ちから精神的に追い込まれる

 

 このような精神的ストレスからうつ病や強迫性障害などの精神疾患を発症してしまい、病院へ駆け込むのです。

 

 アスペルガー症候群は二次障害としてさまざまな精神疾患を引き起こします。

 

 このコーナーでは精神疾患ごとに発症の原因や症状を紹介していきます。

 

アスペな大人 監修 精神科医 クラーヴァラ

監修医師より
 「仕事がうまくいかない」「トラブルが多い」といったことからうつ状態になったり、ストレスによる不調が現れたりします。
 そのことをきっかけに受診に来られる方が多いです。
 自ら症状に気づいて受診に来るケースは少なく、症状に見かねた周りの人から受診を薦められるケースがほとんど。
 アスペルガー症候群と診断されると「本当にそうなんですか」と疑われることもあります。

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”生きにくさ”を感じるようなら医療機関へ

 このサイトを見て自分もしくは配偶者や家族など、身近な人がアスペなのでは?と思う方がいるかもしれません。

 仕事や日常生活に支障をきたすほど”生きにくさ”を感じるようでしたら病院で診てもらいましょう。

 大切なのは自己判断しないことです。正確な診断は医療機関で行われます。
 =>【医師監修】アスペルガー症候群の大人が行く病院

 また、仕事が続かない、うまくできないといった悩みを抱えた方のために就労支援機関が設けられています。
 =>「アスペな大人」に向いている仕事や就労支援

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