アスペルガー症候群にまつわる体験談

カウンセリングと服薬でゆっくりと改善を目指す

20代男性

 

幼い頃から他人の言葉や感情を読み取ることが苦手だった

 私は現在フリーターをしております。定職についたことは一度もありません。なぜなら他人の言葉や感情をうまく読み取れず、すぐにいざこざを起こしてしまい、仕事を辞めてしまうからです。
 私は、母、父、姉の4人家族で育ち、姉とは同じ幼稚園に通っていました。小学校、中学校、高校も姉と同じところに通っていましたので、行儀のよい姉とは全く正反対で粗暴だった私は、大人たち、同級生、先輩たちから姉とよく比べられ、惨めな思いをしてきました。

 

どんなに注意されても治らない

 学校では私は常に動き回り、大きな声を出して先生を困らせていました。母は何度も学校に呼び出され、私と一緒に先生と面談をしました。母には何度も怒られ、注意されましたが、私の学校での態度は変わりませんでした。変えれませんでした、と言った方がいいかもしれません。
 人の気持ちがうまく読み取れないため、私が発する言葉一つ一つになぜ友達が嫌な顔をするのかわかりませんでした。大人になれば治るだろうと思っていましたが、例えば仕事をしていてわからないことを他人に聞いたとします。「だいたいでいいよ」と言われたら私はパニックになってしまうのです。その「だいたい」がどの程度でいいのかよくわからず、仕事ができなくなってしまうのです。
 学生のころからあれだけ注意されても態度を変えることができず、大人になってもそれは治らない。周りの人が簡単にできることが自分にはできない。そこで初めて私は気づきました。これは性格なのではなく、病気なのではないかと。
 参考→アスペな大人の特徴-あいまいな指示を理解できない

 

カウンセリングと服薬で以前より精神的に落ち着くようになった

 家族に相談すると、クリニックを一生懸命探してくれました。父の知人が紹介してくれたクリニックに行くことになったのですが、そのクリニックとの出会いが私をとても楽にしてくれました。
 診察では、カウンセラーのような感じで、先生がひたすら私の話を聞いてくれます。悩んでいること、これからどうしたいか、したくないか。先生は私だけではなく、母や父ともしっかりと話をし、最終的に「アスペルガー症候群」という診断をされました。それを聞き、やはり自分は病気だったのか、と変に安心したのを覚えています。
 それからは月に1回程度で、カウンセリングのために通院しています。また、毎日決められた量の精神安定剤を服用しています。薬の副作用のためか食欲がいくらか旺盛にはなりました。でも服用を始めた頃の私に比べれば、今の私は精神的に本当に変わりました。とても楽なのです。常にかかえていたイライラ、不安が全くないのです。
 参考→アスペルガーの症状を軽減する薬

 

ゆっくり、アスペルガーに向き合っていく

 冒頭でもお話しましたが、私は定職についたことがありません。現在は治療中ですので、まだ考えられませんが、いずれは定職につき親を安心させたいと考えています。薬を服用したからといって、人の気持ちがわかるようになるとは思えません。ただ、私のことを理解してくれる家族、クリニックの先生がいると思えばどんなに困難なことでもやってみようかな、と少しは思えるようになりました。また、薬のおかげで私の気持ちに余裕ができた分、今までは理解できなかった他人の意見にも、時間をかけてでも理解できるよう努力したいと思っています。ゆっくりゆっくり、この病気を向き合っていきたいです。

”生きにくさ”を感じるようなら医療機関へ

 このサイトを見て自分もしくは配偶者や家族など、身近な人がアスペなのでは?と思う方がいるかもしれません。

 仕事や日常生活に支障をきたすほど”生きにくさ”を感じるようでしたら病院で診てもらいましょう。

 大切なのは自己判断しないことです。正確な診断は医療機関で行われます。
 =>【医師監修】アスペルガー症候群の大人が行く病院

 また、仕事が続かない、うまくできないといった悩みを抱えた方のために就労支援機関が設けられています。
 =>「アスペな大人」に向いている仕事や就労支援

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