アスペルガー症候群にまつわる体験談

感情が爆発して批判ばかりしてしまう

30代女性、当時20代

 

発病までの背景

 私の家庭はごく一般的なものでした。介護士の母と、サラリーマンの父。父の年収もそれなりに安定し、ご近所さんと比べても大きな一軒家。私は三姉妹の長女なのですが、母の意向で週に5日、それぞれ別々の習い事に行っていました。

 

 自分ではアスペルガーっぽい経験を自覚したことはありませんでしたが、今思えば集中できるものとそうでないものの差がかなり激しかったように思います。

 

 しかし、大人になって始めた趣味のダンスによって、人生が大きく変わることになりました。

 

大人になって現れたアスペルガー症候群の症状

 学生時代に趣味で始めたストリートダンス。一度ハマるととことん突き詰めたくなる私は、社会人になってからというものダンススクールに通い詰めるようになりました。

 

 そこで年齢の近い女性のインストラクターと大きくぶつかったことがきっかけで自分の症状を自覚するようになりました。そのきっかけとは、「もしかして何か病気かもしれない、一度病院に行こうよ」という一言でした。

 

 最初は言っている意味が分からず只々ムカムカするばかりでしたが、そうこうしているうちに交流のあった他のダンサーやインストラクターにも同じように思われていると知らされることに。どうやら私は自分が一旦気になり始めたことに激しく固執し、人と自然な会話やコミュニケーションが取れないようでした。

 

 直接話している時はまだ普通なのですが、メール等の文面でのやりとりになると感情が爆発してしまいがちなのです。人を驚かせるような長い文章を書き、しかも否定的なものや批判的なことばかり書いてしまうのでした。

 

私が行った治療

 そこで初めて赴いたのは、当時住んでいた県にあるメンタルクリニック。当時は一人暮らしだったため、病院に行くことは親にも言わず、ただただ不安を抱えて扉を叩いたことを覚えています。

 

 そこではとにかく、今までの生い立ちや自分自身が不安だなと思うこと、疑問に思うことなどを聞かれ続けました。医師の方は比較的しっかりと話を聞いてくれるタイプの方で、しかも同性だったこともあり安心しました。

 

 帰り際、何かあったときのために携帯電話の番号を教えて欲しいと何気なく言うと、笑って「大丈夫、不安に思うことはありません」と言われました。今思うと、医師に連絡先を聞くなんて発想がもはや普通ではなかったのかもしれません。

 

 後日、自分がアスペルガー症候群だと告げられました。とにかく、他人に何故冷たい態度を取られるのか。長い間悩んでいた理由が自分の病気にあったことを知り、落ち込むというよりむしろ安心しました。

 

その後

 現在、必要に応じて安定剤や睡眠剤を使用しながら生活しています。

 

 治療をしていく中で自分の中身が大きく変わった自覚はありませんが、自分の思考回路の特徴や、シチュエーションに応じた返事、人との距離の測り方などを意識して生活しています。

 

 私がこれから気をつけるべきことは、人に過剰に深入りしないことです。いつもそれが原因で悲しい思いをしたり、怒りが生まれたりしていたことを知りました。迷惑をかけないようにというよりも尚、自分自身をもっと大切にするために他人との関わり方を考える。そんなふうにして生活していこうと思います。

この体験談から学べること

人との距離感がわからない

人と必要以上に積極的に関わりたがるタイプのアスペルガーを積極奇異型アスペルガーといいます。
他にも人との関わり方の特徴によって受動型アスペルガーや孤立型アスペルガーというものに分類されることもあります。
いずれにせよ、人との関わり方はアスペルガーにとって重要なファクトです。診察の際、お医者さんはそのあたりをよく診ますので、距離感がわからないことについて、包み隠さず伝えるとよいでしょう。
アスペルガーのタイプ

”生きにくさ”を感じるようなら医療機関へ

 このサイトを見て自分もしくは配偶者や家族など、身近な人がアスペなのでは?と思う方がいるかもしれません。

 仕事や日常生活に支障をきたすほど”生きにくさ”を感じるようでしたら病院で診てもらいましょう。

 大切なのは自己判断しないことです。正確な診断は医療機関で行われます。
 =>【医師監修】アスペルガー症候群の大人が行く病院

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 =>「アスペな大人」に向いている仕事や就労支援

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