人間関係の構築と変わろうとする気持ちが大切
20代女性
発病までの背景
家族構成は、両親と弟が一人、四人家族でした。
他人に対して興味がない、集団行動に適さないタイプでした。
これは私だけでなく、両親も弟も家族全員そうだったのです。
よくアスペルガーの両親からはアスペルガーの子供が生まれるという話を思い出します。
両親は二人とも国立大学の教授でした。地元の祭りや運動会にも無関心な家族でした。
大人になって現れたアスペルガー症候群の症状
会社では仕事以外の人づきあいを求められます。私はその意義を見出せず、つらい時期を送っていました。
会社は仕事をするところと割り切っていましたから、お酒の席には参加しなかったのです。
会社の人事は会議室よりもお酒の席で決まることが多いそうです。私がそれを知ったときには既に遅かったのです。それだけが原因ではないとは思いますが、いつまでも希望していた花形の仕事にはつけませんでした。
周囲に関心がないというアスペルガーの症状を疎ましく思いました。自分で自分が嫌になり自己嫌悪に陥りました。
でも自分を責めてばかりでもしかたがない。どうやって他人と付き合っていくか真剣に考えるようになりました。人間関係を構築することも立派な仕事に一つなのです。
私が行った治療
まずは診療内科を受診しました。しかし、相談するべき内容があまりわからなかったのです。通院は一度でやめてしまいました。
その後、内科でリラックスできる薬などを処方してもらい、徐々に治療を行っていきました。薬は絶対に乱用しませんが、ドクターは私を信用してくれたからこそ処方してくれたのです。こんなふうにポジティブな考え方もできるようになっていきました。
治療をしていくうえでドクターとの信頼関係が最も大切だと思いました。
弟もこのころアスペルガー症候群に悩み、やはり職場での対人関係で困っていました。
困ったときには、対処療法で薬を処方してくださるドクターとの出会いが大切だと弟に教えてあげました。とりあえずは私の先生を紹介しました。いい先生なので弟ともうまくコミュニケーションをとってくれたようです。
その後
業務そのものばかりに目を向けず、人間関係の構築がまず大切だということを学びました。
そうすると楽しく仕事をすることができたのです。
でも、それはなかなか難しいこと。
人との関わりが人生をより良いものにしていくのだということが、年を重ねてやっとわかってきました。
両親は年を重ねても理解できませんでしたが、私にはできそうです。
生まれた環境や遺伝などのせいにせずに、自分自身で変わるという気持ちがなければ何も始まらない。治療を通して学びました。
この体験談から学べること
生活のなかで”生きづらさ”を感じたら、病院に行ってみましょう。これはアスペルガーに限ったことではありません。
そして、「治さないとこの先の人生苦労するんだなあ」と想像してみることが治療への意識を後押しします。
とはいえ、自分にアスペルガーの傾向があるかどうかなんて判断はつけにくいものです。そこで、是非こちらのテストをご活用くださいませ。