アスペルガー症候群にまつわる体験談

出産してから症状が辛くなった

30代女性

 

担任から注意の電話が度々かかってきたが母は気にしなかった

 子どもの頃は活発で元気、男の子によく間違われるいわゆるおてんばでした。
 父は自営業、母はその手伝いと主婦業。
 わたしは父が30才をすぎて生まれた長女でもあり、厳しくしつけられつつも甘やかされて育ちました。ちなみに5才づつ離れた弟が2人います。
 自営で事務所が家の敷地内だったのもあり、人の出入りが常に多い家庭環境でしたがなぜか人見知りが激しく、それは現在もです。
 学生生活は表面上は明るくふるまっていましたが団体行動と授業がとにかく苦痛でした。
 みんながふつうにできること(勉強、整頓、あやとり、トランプなど)もなぜかうまくできなかったり楽しめないことが多かったです。
 そのせいでクラスメイトにからかわれたり、教師に叱られ嫌われてしまうことも多々で内心ビクビクしていました。
 忘れものや授業に集中できないことも多く、家に担任からよく注意の電話がかかってきていたのを憶えています。
 しかし母は「個性だから」となぜか気にしていませんでした。

 

子どもを産んでから人付き合いが極度に苦痛になった

 高校卒業し、岐阜から名古屋に出てひとり暮らしをはじめました。
 様々なバイトをしましたが、数字が絡む仕事(レジ、その場で見積的なものをだす販売や営業、データー処理など)が無理でした。
 頭が混乱してくるのと、ひとつ間違えるとテンパってしまいミスを連発してしまうのです。
 もともと数学が苦手ということはないのですが、数式ではなく現金などだとこんがらがってしまうのです。
 レジをすれば千円単位のロスをだす、データ処理をすれば慎重にやっても必ずミスがでるのでお金や数字を扱う仕事は諦めました。
 余裕をもった行動ができずいつも遅刻ギリギリだったり、苦手な人がいる場に入って行けなかったりもしました。
 一対一だと気さくに話せるのにちょっとでも苦手な人、無反応の人、するどいツッコミを入れる人がいる場が病的に苦手でした。
 大勢だと一言もしゃべれなくなるので人間関係もぎくしゃくしがちでした。
 戸惑ったり、人を戸惑わせることが多すぎるので社会人生活はストレスが毎日激しかったです。
 28才で結婚、30才で息子を出産しました。
 仕事は辞めて専業主婦になりました。
 結婚当初は苦手な人との深い付き合いがないのと、イレギュラーなことを頼まれたりやらなくてはいけない義務がないのでとてもラクで内心ホッとしていました。
 しかし、妊娠出産して一変しました。
 子ども絡みでのお付き合いや外出が増え、そのたびうまく振る舞えなかったり失敗し、人付き合いが極度に苦痛になったのです。
 不安すぎて眠れなかったり吐き気や腹痛があり日常生活に支障をきたすようになったので、心療内科を受診するに至りました。

 

睡眠薬や緊張を和らげる薬を処方された

 じぶんではなんとなく鬱かパニック障害だと思っていました。
 精神科はこわかったので心療内科に絞り、歩いて通える個人の小さな病院を中心に探し初診を受けました。
 近隣に大学病院もあるのですが、順番待ちが長いのと精神的な病で通院することが誰かにバレたくないので、小さな病院にしました。
 初診では臨床心理士による面談と○×式のペーパーテスト、紙に実のなった木を描くというテストをしました。
 その後、精神科医の診察を受け「アスペルガー症候群の可能性が極めて高い」という診断をうけました。
 2週もしくは3週に1度通いカウンセリングを受けました。
 内容は主に日常の行動についてだったり、人と付き合ううえでの戸惑いや不安についてです。
 主人も同伴し注意点などについても説明を受けたことがいちばんよかったと思います。
 というのもお金の管理がうまくできず「頭が悪いな」となじるのをやめてくれたからです。
 また、ときにコミュニケーションがスムーズにいかずケンカになっていたのが、お互い一呼吸おけるようになったからです。
 わたしの通う心療内科は投薬治療がメインです。
 睡眠薬と緊張をやわらげる薬(メイラックス、ロラゼパム)を処方されています。
 戸惑いや緊張を伴う場面で服用することで日常生活を送れています。

 

無理せず、できることをしていくスタンスを貫く

 初診から約6年程が経ちました。
 現在は自分が無理なくできること、ストレスになりすぎて日常生活に支障をきたさないことを選んでやるようにしています。
 ちなみに現在の通院ペースは月1です。
 仕事なら在宅でできるもの、短時間で不特定多数の人とかかわらなくてもいいパートや短期アルバイトを選んでいます。
 PTA行事やママ友付き合いなどは極力セーブしています。
 ストレスが溜まりやすかったり、とんでもないミスをしてしまうからです。バザーの集計で計算ミスをだして不審がられたり単純作業でミスをしてしまったり・・・。
 それをカバーしようとちんぷんかんぷんのことを言ってしまったり、クヨクヨ引きずってしまうためとにかく回避です。
 アスペルガーということがわかり必要以上にじぶんを責めなくなったことと無謀なチャレンジをしなくなったのがよかったです。
 幸いわたしは比較的軽度らしいです。
 でも違和感や戸惑いを常に感じたり余計なことを言ってハッとしたり、人がふつうにできることができずクヨクヨしたりします。
 薬で治る病気ではなく抱えて付き合っていく病だと思うので無理せずできることをがんばるというスタンスで生きて行きたいです。

”生きにくさ”を感じるようなら医療機関へ

 このサイトを見て自分もしくは配偶者や家族など、身近な人がアスペなのでは?と思う方がいるかもしれません。

 仕事や日常生活に支障をきたすほど”生きにくさ”を感じるようでしたら病院で診てもらいましょう。

 大切なのは自己判断しないことです。正確な診断は医療機関で行われます。
 =>【医師監修】アスペルガー症候群の大人が行く病院

 また、仕事が続かない、うまくできないといった悩みを抱えた方のために就労支援機関が設けられています。
 =>「アスペな大人」に向いている仕事や就労支援

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