アスペルガーを個性として捉え努力していく
20代女性
発病までの背景
私は地方のど田舎で生まれました。
父親は自営業、母はパートで働いています。
兄弟は姉と弟が一人います。
小さい頃から、大人しくて控えめな性格でした。
同い年の子は外で遊ぶことが好きな子が多いのに、私は部屋の中で本を読んだりゲームをしたりすることが好きでした。
小学生の頃、担任の先生に「あなたは人の目をみて話をしないね」と言われました。
その頃からかは覚えていませんが、人と話すことが苦手だと感じるようになりました。
それは、時を経ても変わることがなく、友達は少ない方だったと思います。
あとは数字に対するこだわりが異常に強く、小学校低学年のときに最寄駅の時刻表を全て覚え、両親を驚かせたことがあります。
大人になって現れたアスペルガー症候群の症状
自分がアスペルガー症候群ではないかと疑い始めたのは、大学生になってからです。
飲食店でのアルバイトを始めたのですが、お客さんと上手くコミュニケーションが取れず、何度もクレームを受けるという失敗を重ねていました。
同じ時期に入った同い年の子は、難なくこなせているのを見て、自分だけ何でこんなにミスが多いんだろうと落ち込むことが多くなりました。
また、大学の友達と話している際に、「自分のことを話し出すと止まらないよね」といった指摘を受けました。
言われてみればそうかもしれないとは思いましたが、はっきりとした自覚はありませんでした。
また、昔から食事の時間をきちんと決めており、それが守れないと泣いたりパニックになったりしていました。
母親に相談すると、「それが守れないからといってあなたが悪いわけじゃない」と言われましたが、私には納得がいきませんでした。
私が行った治療
病院を受診しようと思ったきっかけが、度重なるアルバイトでのトラブルで抑うつ状態になったためです。
病院は地元にある総合病院を受診しました。
もっと大きな街なら病院に関しては色々と選択肢があると思いますが、私の住んでいたところは小さい街だっので、そこの病院を選ぶしかありませんでした。
病院ではいくつかの診断テストと問診の結果、アスペルガー症候群の疑いがあると診断されました。
私は、アスペルガー症候群については名前は知っていたのですが、具体的な症状等は知りませんでした。
家に帰ってそれについて調べると、自分に当てはまる症状がたくさん出てきて驚いたのを覚えています。
アスペルガー症候群は薬で治るというものではなく、生まれた時から持っている性質だということをお医者さんから聞いて、すごくショックを受けました。
しかし、ネットや本でたくさんの人の体験談を見るうちに、病気に対して自分がどう付き合っていくかや、周りの理解を得ることも大事だということを知りました。
そして、考えかたを変えようという気持ちになりました。
病院に関しては、抑うつ状態の治療で半年程通いましたが、今は通っていません。
その後
アスペルガー症候群というのは見た目だけでは判断できないことがほとんどです。
かくいう私自身もアスペルガー症候群については、そう診断されるまでは全然知識がありませんでした。
今は社会人として働いていますが、職場の人たちには自分がアスペルガー症候群であることを打ち明けており、理解をしてもらった上で一緒に仕事をしています。
アスペルガー症候群は、当の本人でもなかなか気づかないことが多いです。
そのために、自分はこんなに頑張っているのにどうしていつもミスばかりなんだろうと自分を責めてしまう人が多いと聞きます。
そんな時に必要なのは周りの人のサポートだと思います。
アスペルガー症候群は病気ではなく、その人の個性だと思います。
その個性を活かせば、社会で大きく活躍することも可能です。
私もそうなれるように、自分の個性として活かし、精一杯努力していきたいと思います。
この体験談から学べること
「人の目を見て話さない」「時刻表を全部覚える」「ひとりで本を読んだりゲームをすることが好き」
アスペルガーは生まれつきの個性であり、薬で完治する性質のものではない。また、現在のところアスペルガーにピンポイントで効く薬はない。
完治はできないが、諸症状をそれぞれの薬で抑えることは可能。抑うつ症状を抗うつ薬で抑えるなど。
アスペルガー症候群であることを上司や周囲の人に伝えること。理解があれば上司や同僚に仕事をサポートしてもらえる。
ただし、病気に理解がなければ色眼鏡で見られることもある。医師と相談しつつ慎重に。