薬や認知行動療法で改善した
40代女性、当時30代
発病までの背景
子供の頃は、物事をはっきり言う、場の空気を読まずヅケヅケ指摘をするということをよく言われていました。
周りは私のことを面白がって指摘していたのかもしれません。
しかし、私はそれが自分の持ち味だと勘違いして、自分の言動を振り返るということは全くありませんでした。
また、それにより人が傷つく可能性があるということも考えても見ませんでした。
そんな私は田舎の両親と兄弟3人の5人家族でした。小学校から高校まで普通学級で過ごしていました。
大人になって現れたアスペルガー症候群の症状
物事をはっきり言うことは、子供時代から変わりません。
その調子で就職をしました。
そこで先輩から生意気、後輩の癖にと目をつけられることになったのです。
しかし、私は何が目立っていたのか、何が先輩の気に障ったのかということが全く分かりませんでした。
自分でも自分の言動が悪いという自覚がなかったからです。
ところが、就職して時間がたつと、なんだかおかしいと感じるようになったのです。
私の周りに人が寄りつかない、話しかけられない状況などです。
その状態が続くと、今度は、いろいろなことが心配になり、私はおどおどするようになりました。
人と目を合わせるのが怖い、話をするのが怖いという状況に。
仕事に行っても動悸がして仕事が手につかなくなり、私は始めて病院で受診しました。
そこで初めてアスペルガーであることを指摘されたのです。
私が行った治療
病院は、自分の住まいの近くにある精神科クリニックです。
とても優しい女医さんです。
私がしゃべるまで粘り強く待ってくれる先生でした。
そのため少しずつ話をすることが出来たのです。
その病院では、まずパニック症状があることを指摘されました。
仕事に行くと手が震える、人前に出ると足がすくむ、動悸がする、冷や汗が出る、過換気になりやすいといったことです。
まずパニック症状を改善するために抗不安薬を処方され、不安が強い時に飲むようにしました。
その間も仕事をしていましたが、やはり私の挙動不審な行動やうつっぽい見た目から、距離は置かれていたと思います。
小さな会社だったので、みんなが放っておいてくれたことは逆に救いでした。
病院では私のこれまでの性格やバックグラウンドなどのカウンセリングを行い、面談から約1ヶ月したころにアスペルガーだと診断されました。
その後
抗不安薬を飲み始めてからは、少しずつ改善傾向にありました。
やはり、ストレスの程度や体調によって気分の浮き沈みはあります。
でも、以前よりは過換気などの症状が出ないようになりました。
また、アスペルガーについては特に薬は処方されず、自分の行動を見直すための認知行動療法というものを行いました。
まず、自分がやろうと思ったことを、すぐにやるのではなく一息おいて考える。
また、意見をいう時もすぐに思ったことを言うのではなく、一旦考えてから言葉に出すなどの訓練をしています。
これにより、以前ほど言葉が鋭くなくなったような気がします。
また、人の意見を聞くという時間も持てるようになりました。
まだまだ訓練は必要ですが、もっと良くなるように心がけていきたいと思っています。
この体験談から学べること
ものごとをはっきり言うので、「生意気」と言われることが多かった。
アスペルガー症候群の人は会話が苦手。そんな話でもじっくりと聞いてくれる先生はとても良いといえる。
また、症状に合わせて適切な薬や治療を施してくれ、きちんとその治療を選んだ理由を話してくれる先生だと安心できる。
医師にパニックの症状があることを伝えること。
パニックを抑える薬やカウンセリングなど適切な治療を施してくれる。
自分の意見をすぐに言うのではなく、相手の言葉を受け止めて、一旦考えてから発言する。
アスペルガー症候群の治療では、考えてから発言できるようになるための認知行動療法を行うこともある。