中高年の発達障害・アスペルガー
発達障害で来院された55歳男性Aさんのエピソードです。
Aさんは大学を卒業後、無事就職。
ところが、段取りが悪かったり、柔軟性がなかったりして、まわりの足を引っ張ってしまう存在になってしまいました。
他にも「しゃべるのが遅い」「時間感覚が鈍く、仕事がきちんと終わらない」といった特性が顕著にあらわれてしまい、大きなミスを繰り返すことに。
すっかり仕事ができない人とレッテルを貼られてしまったAさん、とうとう会社をやめてしまいます。
そして社会が怖くなり、家に引きこもってしまいます。
親に面倒を見てもらいながら、簡単な仕事の手伝いや家事の手伝いをしていましたが、20年余を経て、Aさんの親がAさんを連れて病院にやってきたのです。
診察したところ、こんな所感を持ちました。
- 言葉が出てくるまで時間がかかるが、ちゃんと答えることはできる。
- 途中で口を挟むとフリーズしてしまう。
- アスペルガーの特性が強くでている。
- 計算ができないが国語はできる。LDの要素はあるが、そこまで重篤ではない。
おそらく、仕事をしていた若い頃から同じような状態だったのだと思います。
現代になって来院したことにより、発達障害として診断が下りました。
手帳をもらうよう指示も出しました。今後の人生への糧になればと思います。
Aさんが働いていた当時は、大人の発達障害の理解を得られることは少なかったのです。
現在では理解が進み、発達障害として診断が下りました。
中高年の方で同じような状況のかたがいるかも知れません。
生きづらさを感じているようなら病院で診てもらいましょう。